“Go for it マレーシア教育移住日記”のブログにご訪問いただきありがとうございます。
今回は教育移住や母子留学とはまったく関係のない、でも個人的には是非読んでいただきたい コタキナバル での猫のお話しです。
コタキナバル には、たくさんの野良猫が街中で日々生命の危機に脅かされながら暮らしています。ある日、偶然妊婦の猫と目が合い、つい放っておけなくなった私はその猫の出産を前提に一時的に預かることになったのですが…



【#68】妊婦の野良猫を保護し出産を見守った我が家のドキュメント(前編)
妊婦の野良猫との出会い
◉2020年11月3日
外出しようと駐車場に行くと、まるで私の幼馴染みであるかのようなテンションで近寄ってくる1匹の三毛猫。野良の三毛猫は割と珍しい。“普段見かけない子だな”と思いつつ、ちょっと遊んで私はそのまま外出しました。
◉11月4日
また同じ猫が、さらに親しげなテンションで登場。“あら、あなた妊婦じゃない。人懐っこいね〜。じゃあなつ子って呼ぶね”なんて話しながらこの日も外出。その夜に豪雨が降り、“なつ子大丈夫かしら?”と寝る前に少し心配になる。
◉11月5日
昨日と同じ時間に外出。今日はなつ子は現れなかった。“なつ子、昨日の雨で具合が悪くなったのかな?なつ子どうしてるかな?”と、もう気になって仕方ない….
◉11月6日
“なつ子が居た!”
私は家からキャットフードを持ってきて食べさせる。なつ子はもりもり食べた。なつ子は妊婦だけど、ガリガリに痩せていて骨がゴツゴツしていた。
“なつ子、明日もご飯持ってくるからね!明日もここにおいで!”と何度も言ってその場を離れる。
◉11月7日
なつ子は私の車の後ろで座って待ってた。
“なつ子えらいじゃない!ちゃんと待ってたのね!!”
またご飯をたくさん食べた。もうなつ子から離れられない….家に連れて帰りたい。
でも私の家にはすでに1匹猫がいる。しかもかなりの箱入り息子。それに私はいつかここを離れる外国人。無責任な情けならかけない方がいい。でも…

友達にそんな話をすると、“動物保護団体に連絡して引き取ってもらったらどう?”とのアドバイス。
“そうか、その手があったか!”と思い、すぐに動物保護団体に連絡。
すると団体は、なつ子を引き取ってその後里親を探してくれるとのこと。これはありがたいと思ったけれど、当時はロックダウンで地域を跨ぐ移動が制限されているので、今すぐ引き取りに来れないようで、逆に、なつ子は妊婦で緊急性があるから、団体が引き取りに来るまで私の家で一時保護をしてくれないかとの要請が…
ちなみに、今回ハンドリングしてもらうことにしたのは、マレーシアに12の支部を持つSPCAという保護団体のKota Kinabalu支部。
SPCA・コタキナバル支部“それならば!”といったん私の自宅での保護を引き受けて、その足で獣医に連れて行き、すぐさま健康診断をしてもらってお腹もエコーで見てもらう。
ドクター「お腹には3匹の赤ちゃんがいるよ、そしてあと1ヵ月くらいで生まれるよ」
“年内に出産だな…”と思いながらなつ子を家に連れて帰り、シャンプーして、臨時家族として我が家の先住猫・茶トラ柄のきゃべつ君にもなつ子をご紹介しました。

私が見たところ、なつ子は野良猫のわりに綺麗で若そうでした。年齢もきゃべつと変わらないのではないかと思います。
“うん、いいよ。ゆっくりやって行こう…!”
なつ子を迎え入れてからというもの、きゃべつは生まれて初めて見る自分以外の猫に興味津々で、ちょっかい出す、つきまとう、ガン見するなど多少の迷惑行為を繰り広げたものの
肝の座ったなつ子の性格のお陰もあって順調に時が過ぎて行きました。
我が家のきゃべつもまた保護猫で、旅行で訪れたコタキナバルの離島で彼に出会ったのが当時生後1ヵ月くらいの頃、長男が一目惚れして“どうしても飼いたい”と懇願され、今年は誕生日プレゼント要らないからとまで言われて家族にした男の子です。母猫からは若干ネグレクトされていて、1人でポツンとしていました。島の人に聞くと、保護して構わないとのことでした。生年月日は不明ですが、出会った時の大きさから推測すると現在きゃべつは1歳9ヵ月くらいで、猫としては成猫です(去勢手術済み)。
そんな私は3歳の時から家で犬を飼っていて、現在までの40うん年の人生で犬を飼ってなかった期間は計3年くらいです。猫はきゃべつが初めてでしたが、家族に迎え入れてからは猫好きな友人のサポートもあり、どんどん猫にハマって行きました。
きゃべつ、なつ子ともに野良猫出身。実はマレーシアには野良猫がけっこう多いのです。
マレーシアに野良猫が多い理由
暖かい気候
マレーシアに野良猫が多い第1の理由は、暖かい気候です。
猫は通常65日ほどで出産するため、頑張れば年に3回くらい産めるそうです。しかも常夏のマレーシアは気温が安定していて、猫にとって生き延びやすい環境なのです。
街中で野良猫に出会うことは珍しくなく、店先で餌付けしたり、なんとなく街全体に見守られている感じはあります。
マレーシア人はたいていみんな猫好きで、猫は身近な動物なのです。サバ州のお隣り、サラワク州にはマレー語で猫を意味するKuching(クチン)という名前の市があるほどで、クチン市にはネコ博物館まであります(笑)
ですが、野良猫は誰かが責任を持って飼っているわけではありませんので、病気になってもそのままだし、車に轢かれることもあれば、妊娠してさらに猫が増えていくこともあります。それについては行政も市民も責任を持ちません。
イスラム教徒の多いマレーシアでは、猫は犬よりポピュラーです。イスラム教では犬は禁忌に属する動物とされており、イスラム教の人たちは犬に触ることを嫌います。そのような宗教的背景もあって、野良猫が多いのだと思います。
でも、私は野良猫が多い決定的な理由は他にあると思っています。
放し飼いの習慣
私が思う野良猫が多い決定的な理由は、猫の飼い方にあります。
マレーシアで多く目にする猫の飼い方は、放し飼いです。一軒家に住む人は猫を放し飼いにすることが多く、猫は日中に家から出て気の向くままに散歩し、夜になると帰ってくるというのです。
もちろん猫には帰巣本能がありますから、家から離れても家に帰ることができます。しかし、夜になって猫が帰ってきたことを確認して部屋やケージに入れて寝るならまだしも、
帰ってこなければ“今日は帰ってこないなぁ”くらいの感覚の人も多くいます。
ローカルの知人と猫の話をしていると、「うちの猫、1ヵ月ぶりに帰ってきたら妊娠してたわ」とか、「しばらく帰ってこなかったけど傷だらけで帰ってきたわ」なんて話が出ます。猫を9匹飼っているとか15匹飼っているという知人もいて、初めて聞いたときは“すごいなぁ…”と感心したけど、実は放し飼いだから全部の猫の健康管理をしているわけではなく、庭に居着いた野良猫だったり通い猫であることもあり、それでも彼らは“うちの猫”と称しているのです。
もちろん、私のように室内で猫を飼う人も稀にいますが、大半の場合は、自分の家の敷地内で過ごすことを許す、敷地の外に出ることも許す、ご飯とお水は置いておくというように、マレーシアでは外で猫を飼うことが習慣として定着しています。
こんな調子なので、飼っていると思っている猫が日中外を出歩いている時に車に轢かれるなんてこともあります。放し飼いだと、他の猫と喧嘩をして傷口からバイキンに感染して病気となり、早死にする猫も多くいます。妊娠した場合、どこかに仔猫を産み落としてくることもあります。そして、そのまま家に帰らず野良猫になることもあるのです。
日本ではどうなのか?
少し前までは、日本でも“猫を家に閉じ込めるなんてかわいそう”という風潮があったように思います。
でも今は、日本では猫は室内で飼うことが定着してきました。
“猫の放し飼いはデメリットだらけ!それでもまだ放し飼いしますか?” (2017.12.14)
私も猫の放し飼いはデメリットのほうが多いと思います。
大きな違いはその寿命。野良猫が平均3〜5年しか生きられないのに対して、家猫は20年以上生きることも珍しくないんです。野良猫として生まれてきたことは、その子にとっての運命なのかも知れません。でも、同じ1つの命です。
驚くことに、日本の動物愛護管理法でも猫の場合には放し飼いに関する規制は曖昧です。
「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(PDF)」(平成14年)
そして、都道府県が定める動物愛護管理条例ではさらに細かく規制を設けている自治体があるようですが、いずれにしても猫の放し飼いに関する規制はありません。
2020年に改定された動物愛護管理法では、犬猫の繁殖業者にマイクロチップの装着・登録が義務化されます。しかしこれは第一種動物取扱業者にのみ課せられる義務で、一般の飼い主には“装着するよう努力してください”というレベルのもの。すべての犬猫がマイクロチップを装着するのは何年先になることやら…
余談ですが、日本が法律で定める愛護動物とは、以下のとおりです。
- 牛、馬、めん羊、ヤギ、犬、猫、家ウサギ、鶏、家鳩及びアヒル
- その他、人が占有している動物で、哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
ちなみに、マレーシアのコタキナバルがあるサバ州の動物保護に関しても調べてみましたが、日本の動物愛護管理法に当たる法律はあるけど、やはり動物の飼い方についてのルールはないようです。
猫にとっての幸せとは?
でも、だからといって室内飼育の猫が不幸なわけではないと私は思います。
野良猫として生きてきたなつ子と、室内で育ったきゃべつ。推定同い歳の2匹の個体差は、いたる所にあります。

その違いとは、
- お腹に赤ちゃんを抱えてもなおガリガリのなつ子と、まるっと膨よかなきゃべつ。
- 毛艶がなくバサバサな体毛に覆われ皮膚に炎症のあるなつ子と、毛艶がよく毛根からフワッとしているきゃべつ。
- ビニール袋の音に過剰に反応しゴミ袋に顔を突っ込むなつ子と、決まった時間になってお腹が空いたら“にゃ〜”と鳴くきゃべつ。
- いつでも立ち上がれる体制で眠り熟睡しないなつ子と、仰向けでお腹を見せて爆睡するきゃべつ。
- 常に敏感でソワソワしているなつ子と、ちょっと鈍感でゆったりと過ごすきゃべつ。
- 多飲多尿でいつも軟便のなつ子と、1日数回大体決まった時間に排泄し健康便のきゃべつ。
野良猫として生きてきたなつ子と生後1ヵ月で家猫になったきゃべつでは、こんなに違うのです。
でも、2匹に共通しているのは、膝に乗せて頭を撫でたらゴロゴロと喉を鳴らして体を預けて眠ることです。野良猫から家猫になってストレスはあったと思いますが、なつ子は人と暮らすことを知り、それが安全なことだと感じ、その暮らしにシフトチェンジしているように見えます。
だからこそ、室内で育てた家猫でも人に愛されて不快に感じる子なんていないと思うのです。



まとめ
マレーシアでは飼い猫も実質放し飼いであるケースがほとんど
室内で猫を飼うことは、猫にとって幸せなことである
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次回に続く
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