“Go for it マレーシア教育移住日記”のブログにご訪問いただきありがとうございます。
今回も前編に引き続き、 コタキナバル で妊婦の野良猫なつ子を保護したお話しの後編です。ぜひお付き合いください。
なつ子はいよいよ出産を控えてナーバスになっています。そんななつ子を見守る我が家ですが、果たして難なく出産はできたのか?



【#69】妊婦の野良猫を保護し出産を見守った我が家のドキュメント(後編) in コタキナバル
前回のおさらい
前回の記事(前編)は、私が保護した妊婦の野良猫を通して、マレーシアに野良猫が多いことの理由には、マレーシアの温暖な気候があること、またマレーシアでは猫の飼い方は“放し飼い”が主流であることをお話ししました。

計らずも、野良猫出身の妊婦猫・なつ子との臨時共同生活が始まった我が家は、なつ子に安心して出産してもらおうと、先住猫のきゃべつと私たち家族はもちろん、友人たちにも協力してもらい出産の日に向かって順調に過ごしていました。
息子しかいない私にとっては、まるで娘ができたような、あるいは嫁ができたような気持ちになり、時には一緒に寝転んで「妊婦って眠いわよね〜」なんてガールズトークをしたりもしました(笑)
なつ子も我が家の環境に柔軟に対応していて、家の中だけの暮らしに変わっても特段変わった様子もなく落ち着いて過ごしているようでした。
なつ子がもたらした唯一の被害
野良猫ではまったく珍しくない真菌(しんきん, Fungus)。なつ子も例に漏れず持っていたようです。
知識不足だった私たちは、なつ子を触った手できゃべつを触っていました。すると数日後、きゃべつの頭が円形にハゲているではありませんか!?
調べると、典型的な“皮膚真菌症”のハゲ。きゃべつを哀れんでいたのも束の間、私と次男にもその典型的な皮膚の症状が出始めました。
獣医を受診して塗り薬をもらい、なつ子も、きゃべつも、私と次男も、治療することになりました。でもなぜか、なつ子と一緒に寝ている長男だけは感染してません。なんでだろう?(笑)
いよいよ出産!?なつ子の変化
人間と同じように“おしるし”もあり、そろそろかなと思いながらベッドに入ると、一緒に寝ている長男が「なっちゃん生むかも…」と呼びに来ました。その時のなつ子は、部屋をうろうろ歩き回って明らかに落ち着かない様子…
破水からいよいよ分娩
猫の出産に立ち会うのは初めてだったので事前にYouTubeで予習しましたが、基本的には人間が手伝う必要はないとのことだったので、私たちはひたすら見守ります。
なつ子が産みやすいように段ボールの中に移動したり、段ボールにタオルをかけて暗くして、私たちもその時を待ちました。
破水から11分後、透明の幕に覆われた玉羊羹のようなものがつるん。最初の赤ちゃんが出てきました。
なつ子は手慣れた感じで、“にゃん”とも鳴かずにいとも簡単に産んでいます。子供が生まれるや否や、なつ子は羊膜をなめて破り、胎盤まで召し上がります。
その13分後、2匹目が同じくつるんと出てきます。そして同じように、羊膜と胎盤の処理。
続いて3匹目。感激している私たちをよそに、黙々と3匹目の後処理するなつ子。
“ねぇ、お腹がまだ全然大きいよ…”と見守る私たちの間に“?マーク”が浮かんでいると、次の瞬間またつるんと次の子が出てきました(笑)
“えー!3匹じゃないじゃんね〜”なんて笑っていられたのもその時が最後で、その後も出るわ出るわ、このままずっと出続けるんじゃないよね?と不安を漏らし始めた頃、気付けばなつ子は7匹の仔猫を産み終えました。

なつ子の出産記録
◉2020年12月2日 午前(深夜)
12:30 | なつ子、ソワソワし始める |
---|---|
1:09 | 破水 |
1:20 | 第一子誕生(黒白/メス/名前;いち) |
1:33 | 第二子誕生(白/オス/名前;りき) |
1:42 | 第三子誕生(白/メス/名前;ぽら) |
1:59 | 第四子誕生(黒白/メス/名前;ごま) |
2:22 | 第五子誕生(黒白/メス/名前;げん) |
2:38 | 第六子誕生(三毛/メス/名前;まめ) |
2:59 | 第七子誕生(三毛/メス/名前;にしき) |
性別は後に分かり、オスは1匹だけでした。
実は3匹目の赤ちゃんは、他の子に比べて圧倒的に小さかったのです。その時なつ子は、羊膜と胎盤の処理はしたものの、その後放置。他の子の体は舐めてあげてるのに、3番目の子だけは舐めない。それでも一生懸命生きようとしている赤ちゃん。
これは自然界の厳しい現実で、母猫は弱い子を放棄することがあります。恐らく野良猫としての出産経験のあるなつ子は、この子が今後自力で生き延びることができないであろうと判断し、育児を放棄したのです。
残酷なようですが、自分が食べていくのに必死な自然界では手のかかる子を手厚く面倒をみることはないのです。あえて育児を放棄して、自然淘汰されるのを待つ。それが現実なのです。
全員が生まれてきた後に初めての授乳タイムが始まりましたが、3番目のぽらは乳首をくわえるのも下手で、なかなかありつけない。少しだけ補助をして乳首をくわえさせました。
なつこは7匹の仔猫に恵まれ、きゃべつと合わせると9匹の猫を想定外に抱えることとなった我が家は、それから楽しい毎日が始まりました。
とは言っても、人間が育児を手伝うことはなく、なつ子が育児をしやすいようにサポート。
なつ子に栄養のあるフードを食べさせ、仔猫の体重を測り、寝床を整え、部屋を清潔に保つ毎日。育児放棄され気味だった3番目のぽらの様子を注意深く見守り、授乳の補助を続けました。

なつ子の出産から学んだこと
猫のお母さんは、7匹の仔猫の育児を1人でこなします。文句を言う相手もいない。ただひたすら授乳して、排泄を促して、体を舐めて、全員が寝た少しの時間にリビングに出てきて、少しでも仔猫の鳴き声が聞こえれば走って戻る。その繰り返し。“なつ子はすごいなぁ、えらいなぁ”と心の中で思う反面、“自分の子育て当初は文句ばっかり言ってたな…”と何度も反省しました。
なつ子の顔は出会った時に比べると、ずいぶん穏やかで可愛くなりました。“愛されたら顔が変わるのは人間だけではない”と、私たちは実体験しました。
そして、もう成人手前となった我が家の息子たちと一緒に生命の誕生に立ち会えたことは
お金では買えない貴重な経験となりました。
自分より明らかに弱い、小さな猫が命がけで生む子供、育つ見込みがないと思われた仔猫を育児放棄する自然界の厳しさ、それでも一生懸命生きる命の強さ、支え合う兄弟のありがたさ、母猫が仔猫を愛でる姿、昨日できなかったことが今日できるようになる成長の積み重ね、誰かが世話をしてくれなければ成長できないという現実…
この経験を通じて私が二人の息子に思うのは、“今すぐじゃなくていい、いつか自分に何かヒントが必要になった時に思い出してくれたらきっと今より優しい大人になれるのではないかな…”ということ。この経験から学んだ二人の息子に、母は心からそう願うのです。
そして我が家の先住猫きゃべつも、人生(猫生?)の先輩として、代理父として、仔猫たちの世話に奮闘しています(笑)

猫たちの今後は?
マレーシアの暖かい気候が成長を促すのか、インターネットで調べる仔猫の成長速度より明らかに速く成長する我が家の仔猫たち。
仔猫たちは皆、生後1ヵ月にもなると兄弟全員でジャレ合って遊び、トイレはそれぞれできるようになり、お湯でふやかしたキャットフードを食べるようになりました。見ていると本当にたくましいです。
可愛くて可愛くていつまでも手元に置いておきたいけれど、今のこの可愛い時期ほどもらい手を探す時です。私たちには、この子たちに生涯の家族を見つけてあげるという使命が残っています。
そして私たちは、動物保護団体と相談しながら里親探しを始めました。自分の友人や知人に情報をシェアするのはもちろん、保護団体のFacebookページでも里親になってくれる人に呼びかけています。
この子たち全員が、生涯愛される命でありますように….
猫の健康、生きる権利を尊重して安全な場所で生涯を終えることができますように…
全員を信頼できる里親さんに引き渡すまで、私はこの幸せな時間を楽しませてもらいます(笑)

1人でも多くの方の心に留めておいて欲しいと願うこと
お世話をして、ご飯をあげて、健康を見守ることに関してはすべてボランティアなので、報酬は一切頂いておりません。
今後、里親さんの元で健康に暮らすために必要なワクチン接種や避妊手術にかかる費用は、動物保護団体SPCAがに負担しています。
読者の皆様も、もし犬や猫を家族に迎え入れることをお考えなら、ぜひ動物保護団体の譲渡会で里親になることを検討してみていただきたいと思います。さまざまな理由で行き場のなくなった犬や猫を引き取り、適切なケアをした後に里親に引き渡す活動をしている団体がたくさんあり、今回お世話になった動物保護団体SPCAもその1つです。
SPCA・コタキナバル支部このSPCAでは、動物愛護に賛同していただける方からの募金を募っています。その趣旨にご賛同いただける方がいらっしゃれば、ぜひご協力いただきたいと思っています。SPCAへの募金は、こちらのPaypalから可能です。
小さな命が平等に愛される日がきますようにと、心から願っています。



まとめ
獣医から聞いていた3匹ではなく、なつ子は7匹も仔猫を産んだ
動物愛護の観点から、保護した動物の里親探しと募金にご協力ください
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次回に続く
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