“Go for it マレーシア教育移住日記”のブログにご訪問いただきありがとうございます。
前回の記事の《中編》では、A-Levelの学び方、A-Levelを乗り切るためのメンタル、A-Levelに潜む突発的な落とし穴などについてお話ししました。
今回は、A-Levelを終えた次男の集大成の記事《完結編》として、A-Levelの本試験、オランダの大学に決めた親子の決断、そして次男の今をお話ししたいと思います。
【#188】A-Level を修了し、次男のマレーシア留学は幕を下ろしました (完結編) – 2023年のA-Levelの結末と次男が選んだオランダの大学
いよいよ始まった A-Level の本試験
本試験のスケジュール
文字が小さいので分かりやすくまとめると、次のとおりです。
科目 | 詳細 | 日 | 時 | 時間 |
---|---|---|---|---|
Physics (物理学) |
Further Mechanics, Particles & Fields | 5/30 | 12:30- 14:15 |
1h 45m |
Thermodynamics, Radiation, Oscillations & Cosmology | 6/9 | 13:00- 14:45 |
1h 45m |
|
Practical Skills in Physics Ⅱ | 6/14 | 13:00- 14:20 |
1h 20m |
|
Further Mathematics (上級数学) |
Core Pure Mathematics 1 | 5/25 | 7:30- 9:00 |
1h 30m |
Core Pure Mathematics 2 | 6/5 | 7:00- 8:30 |
1h 30m |
|
Further Statistics 1 | 6/16 | 7:00- 8:30 |
1h 30m |
|
Further Mechanics 1 | 6/14 | 7:00- 8:30 |
1h 30m |
|
Mathematics (数学) |
Pure Mathematics 1 | 6/6 | 16:00- 18:00 |
2h |
Pure Mathematics 2 | 6/13 | 19:00- 21:00 |
2h | |
Statistics & Mechanics | 6/20 | 19:00- 21:00 |
2h |
試験は全て学校のイグザムホール(Exam hall)で行われました。
イグザムホールとは、その名の通り試験を行う会場なのですが、学校によっては常設のイグザムホールがあり、試験以外では使用することはないので、会場に足を踏み入れるだけで緊張感があります。
常設のイグザムホールを持たない学校は、試験期間だけは体育館などの広いスペースが試験用にセッティングされ、受験生以外は立ち入り禁止になります。試験を行う会場は、ケンブリッジなど試験機関が定める細かいルールを遵守しなければなりません。
各科目の試験が実施される時間を見ても分かるように、試験の開始時刻はバラバラです。早朝に試験が始まる日もあれば、終わるのが夜の21時になる日もあり、生徒自身がしっかりとタイムマネジメントしなければなりません。
IGCSEと同様に、A-Levelも世界中で同じ時間帯に試験を行うルールとなっており、世界地図を6つのゾーンに分けて、自分が受験する国が該当するゾーンの時間帯に試験を受けることになります。
マレーシアは「Zone5」に該当し、Zone5に入る国は同時刻に試験が行われます。同じゾーンの中でも時差が数時間発生するため、“Key Time”という時間が設けられており、その時間は必ず試験を受けていなければならないという決まりです。
例えば、Key Time が午前11時となっている2時間の試験の場合、午前10時から12時、または午前11時から午後1時に試験を行います。
次男の場合、2023年5月25日から6月20日までの期間に、3科目で計10回の試験を受けました。
この期間、学校ではもう授業はなく、各自が自分のペースで試験勉強の最終追い込みを進めていきます。寮にいるからといっても必ずしも勉強が捗るわけでもなく、受験生たちがピリピリしたムードになっていく中で平常心を保つことは容易なことではありません。
そのため、次の試験日まで間隔が空く時には自宅に帰ってくることもあり、私は寮と自宅の送迎に時間を費やすこととなりました。
評定基準の緩和措置がなくなった2023年の IGCSE / A-Level
2023年のIGCSE / A-Levels の試験の特徴は、試験の評定基準がコロナ禍前の2019年の基準に戻されたことです。
Standards and grading in 2023
出所: Cambridge International Education “Standards and grading in 2023“
コロナ禍の影響を大きく受けた2020年6月の試験は、世界中で IGCSE / A-Levels の試験が中止となりました。
2020年11月以降の試験は実施されたものの、長引くコロナ禍が子供たちの学業に与える影響を考慮して、「寛大な基準に基づいて成績を与える」とされてました。
2022年の試験は「寛大な基準と従来の基準の中間地点とする」とのアナウンスがあり、2023年の試験はついにコロナ禍前の2019年の基準に戻すこととなったようです。
私はこれまで、A-Levelの攻略法は”ひたすら過去問をやること”とお伝えしてきましたが、2020年〜2022年の過去問はコロナ禍で緩和された難易度が緩めの問題、あるいは緩めの評定が織り込まれているということを忘れてはいけません。
インターによっては“過去3年分の過去問をやれば十分”と指導する学校もあるようですが、これを鵜呑みにすると、2020年〜2022年の特例措置のバイアスがかかっているため、この3年間の過去問を解いて準備しても、2023年以降に受ける実際の試験とは基準が異なる点には注意が必要です。
私が2人の息子の IGCSE / A-level を見てきた経験から言えるのは、3年分の過去問では到底足りないということです。直近10年分の過去問をやる心づもりで、本試験に挑むことをお勧めします。
緩和措置がなくなってどうなったのか?
実際に試験を受けた生徒の感想は、いずれも“予想を超えて厳しい結果となった…”というものでした。
評定基準がここまで厳しくなるとは想定できなかったこともありますが、受験する側の生徒は緩かったのも事実です。
生徒は、直近3年間の緩和された過去問に慣れ過ぎていたことも一因かもしれません。真相は分かりませんが、受験した多くの生徒が、厳しい最終成績に呆然としていました。
次男のA-Levelの最終成績
大学へ出願する際、学校の先生が生徒を評価した見込み成績(Predicted results)を提出し、その成績が大学が求める入学要件(Requirements)を満たしていた場合に“仮の合格許可書(Conditional offer)”をもらいます。
A-Level本試験の結果が見込みの成績以上だった場合にのみ、仮の合格許可書は“正式な合格許可書(Official offer)”となり、入学が認められます。
受験生はあらゆる可能性を求めて、入学を希望する大学に Predicted results を送ります。この時期、生徒たちは“どの大学から Conditional offer がもらえたか?”という話題で持ちきりになります。
英国の大学はUCASというシステムを通して一般的に5校出願するので、次男も英国の大学を5校、その他の国の大学を3校、全部で8校の大学に出願しました。
そのうち5校から Conditional offer をもらいましたが、本試験の最終成績(Official results)では Predicted results 以上の成績を残すことができず、最終的な Official offer を手にすることは叶わなかった大学もあります。
幸いなことに、次男が入学を決めた大学は、Official results が入学要件を満たしていたため、合格を手にすることができました。
ちなみに、次男の Official results は、Predicted results よりも平均して1.5段階低い成績となりました。この結果は、2023年のA-Level本試験がいかに難しかったかということを表していると思います。
基準修正が周囲の学友にもたらした道
次男の周りには、Predicted results よりも Official results のスコアが低かったため、入学要件を満たせずに、仮の入学許可が取り消された生徒が多くいます。
その生徒たちは、その後“どういう道を選んだのか?”ということをここでご紹介します。
1. ギャップイヤーを選んだ
今回の成績で行ける大学に行くのではなく、要件に満たなかった科目のみを1年以内にリテイク(Retake=再受験)して出願をやり直す子がいます。
半浪人のようなスタイルで引き続き勉強することと、すべての出願作業のやり直しが必要なため、パーソナルステートメントも全部書き直すことになります。
リテイクした場合も出願をサポートしてくれる学校もありますが、そうでない学校の場合はパーソナルステートメントの添削も個人で誰かに依頼する必要があり、出願も自分でやらなければならず、かなり大変な作業となります。
2. UCASのクリアリング制度
英国の大学はUCASというシステムを通じて一斉出願するのですが、そのUCASで定員に空きがある大学が紹介され、その大学に入学する例もあります。
UCAS英国の大学でのみ使える制度ですが、UCASが定員に空きがある大学を紹介してくれます。この場合、本試験の結果で要件を満たしている大学に限られます。
ただし、クリアリングに応募できるのは7月から10月下旬までなので、本試験の結果が出てからすぐに申し込まないと、紹介される学校の数は次第に減っていきます。また、必ずしも希望する学部に入れる保証はありません。
3. 出願した大学の別の学部を紹介された
本来出願していた学部の要件は満たせなかったけど、同じ大学でより入学要件の低い別の学部で要件を満たしている場合、大学側がその学部をオファーしてくれたという例です。
「希望する学部には入れなかったけど、希望していた大学には入れるから善しとする」ということで、この道を選んだ生徒も多かったように思います。
次男の周りにも、予定していた進学先が変わってしまった生徒が複数いて、現在もまだ勉強中の子、ギャップイヤーを取ってインターンに励んでいる子、第1希望ではない大学に進んだためイマイチ気分が上がらない子など、実に様々です。
次男の進学先
我が家の大学選定基準
最後までドタバタした A-Level の本試験でしたが、我が家では本試験の結果が出る前に2つのルールを決めていました。
我が家の大学選定基準
- 奨学金(Scholarship)が取れた場合のみ、英国の大学に進学する
(完全自費での留学はしない) - ギャップイヤーは取らない
(2023年9月時点で20歳になるためこれ以上大学入学を遅らせることはしない)
このルールのもと、UCASを介して🇬🇧イギリスの大学に出願するかたわらで、🇳🇱オランダ、🇦🇹オーストリア、🇦🇺オーストラリアの大学にも出願していましたが、2023年の1月には進学先となった現在の大学に心を奪われていました。
日本のいくつかの育英財団が設ける奨学金にも応募しました。せっかく日本の受験戦争から離れているのに、受験さながらにエッセイをいくつも書き、激戦の中で合否を待つという時間も経験しました。
結果として奨学金にはご縁がなかったので、英国の大学に進むことは選択肢から消えました。でも、英国の大学に出願して Conditional offer をもらえたことは、次男にとって自分の立ち位置を知る良い機会となり、自信が持てたようです。
次男が決めたオランダ国立アムステルダム大学
Photo: 次男(アムステルダム大学にて)
まずは大学の紹介
2023年9月から🇳🇱オランダにある国立アムステルダム大学で学んでいます。
University of Amsterdam1632年に創設された国立の総合大学で、オランダの首都アムステルダム市街地にあります。
400年近い歴史を持ち、ヨーロッパ研究大学連盟(LERU)にも名を連ねるオランダの大学の中で最高位におかれる大学です。
地元オランダでは、University van(van=オランダ語でofを意味する) Amsterdamの頭文字を取ってUvAと呼ばれています。
何を学んでいるか?
BSc Econometrics and Data Scienceです。
分かりやすくいうと、計量経済学(エコノメトリクス)といって、経済や社会の実態を統計学の方法でデータ分析する学問です。
*BSc=B(バチェラー=学士)の中で、Sc(サイエンス-理系)の専門学位を意味します。
なぜこの学部を選んだのか?
Year12のちょうど真ん中、UCASに出願するためのパーソナルステートメントを書き始めた時に、自分自身の得意分野や興味があることを自己分析して、自分が完全に理系であること、経済学に興味があることを確信しました。
以前『貧乏人の経済学』 という本を読んで、エコノメトリクスに興味を持ったこともきっかけの1つでした。
漠然と“経済学を学びたい”という気持ちとは別に、理系の強みを持って学びたいと思っていたので、この学部は自分の希望を満たせると思いました。
日本では経済学は文系に分類されることが多いので、自分にはフォットしないと思っていましたが、海外の大学では理系の強みを活かせるプログラムが経済学の中にもあり、まさに学びたいことそのものだったので、この学部を知った時、ここ以外は考えられないほど魅了されていました。
この大学にたどり着いたきっかけ
イギリスの大学に行くなら奨学金を取ることが我が家の前提だったので、奨学金が取れないことも想定して、近隣の国にも興味がありました。
ヨーロッパで学びたい気持ちがあったので、はじめは“イギリスに行くんだ!”と思っていましたが、色々と調べているとイギリスは留学先として開拓されすぎていて、自分にはあまり魅力的に映らなくなっていきました。
学校の友達がみんなイギリスを目指していて、なんかイギリスに行っても変わり映えしないようにも感じていました。
でもイギリスの大学といっても選択肢はたくさんあって、ど田舎の街にある大学だったらロンドンに行く機会なんてあまりないし、“それでもイギリスが良いのか?”と疑問を持ち始めてもいました。
これは負け惜しみかもしれないけど、イギリスは本当に学費が高くて、学費と生活費を合わせて1千万円払える人しか来ないでと言われているような気持ちになってきて、そんなに高額な学費の大学じゃなくてもしっかり学べるはずだと、むしろ大学調査に熱が入りました。
アムステルダム大学を知ったのは、母から「オランダも良いと思うよ」といってシェアされたアムステルダム大学のHPを見たのがきっかけでした。母はコスパが最強だと強調していたのを覚えています。
調べてみると、エコノメトリクスを学べる学部があり、イギリスの大学では2年生からしか学べないエコノメトリクスが、アムステルダム大学では1年生から学べることが分かり、親近感が沸きました。
元々、人と違う経験ができることに喜びを感じる性格で、オリジナリティを形にすることが好きでした。そういう部分でも、やはりイギリスは自分の候補から外れていったと思います。
いま思えば、イギリスにアムステルダム大学と同じ学費の大学があったとしても、オランダを選んだと思います。
この大学を選んだ決め手
自分にとって次の点が、アムステルダム大学を進学先に選ぶ決め手となりました。
- 外国人留学生に対してウェルカムな環境で英語での講義が多く用意されていること
- ダイバーシティーを重視した国民性の上にある大学であること
- 国として世界で初めて安楽死を合法化した、世界に冠たるLGBTQ先進国であること
- 個人を尊重した国柄のなかで歴史ある大学であること
- ユニーク、マニアックなプログラムが多く、専門性が高いこと
- 大学の世界ランクもさることながら、各学部の評価も高いこと
オランダに留学して僕がいま想うこと
僕は過去にアムステルダムを訪れたことはありませんでした。しかしオランダを旅したことのある知人の話を聞くと、みんな一様に「すごく良い」と言います。
ネットで検索して出てくる街並みは間違いなく今までに経験したことのない空気感で、“そこに行きたい!”という気持ちを掻き立てました。
学校の仲間の中では、誰も目を付けていなかったオランダに決めたことは、抑え切れないくらいワクワクしたし、揺るぎない決定であり、迷いはまったくありませんでした。
オランダという選択肢を見つけた時の衝撃に敵うものはなく、オランダに行く前から楽しみしかありませんでした。
“マレーシアで生活していた時よりもびっくりすることなんて起こらないだろう”という、謎の確信もありました。
発展途上国での生活を経験したということは、いつの間にか自分の中で生きていくための大きな自信になっていたようです。
オランダは非英語圏の中で、最も英語能力指数が高いと言われています。
マレーシアでも英語を使えない不自由さはほとんど感じなかったので、それより更に英語能力が高いとされている国なら、英語が使えれば困ることはないということも安心できた一因です。
大学には色んな国から留学している生徒がいて、“ここはどこの国だろう?”と思うほどです。
自分と同じように、世界中の大学の中から選び抜いて入学を希望した生徒が多く「最高にコスパの良いとっておきの場所を見つけた」と思っている人が多いです。みんなUvAが大好きです。
勉強面では、僕の学部には見た目も中身もイモっぽいガチの理系オタクが山ほどいて、自分もその中の一人であることに初めは抵抗がありましたが、いい意味で人のことをとやかく言うような人がいなくて、ごく自然に「イモ」な自分も嫌いじゃないと思えるようになりました。できれば、ちょっとかわいいイモでいたいとは思います(笑)
ずっと数学が得意で数学を一生懸命勉強してきたけど、大学で行われる関数電卓を一切使わない、計算しない数学の授業にも驚きました。
数学を内側から学んでいる感じで、目から鱗が落ちることの連続です。でも大学生活は勉強熱心な人ばっかりで、最高に楽しいかと言うと、そうでもありません。
僕は大学のアンバサダーに任命されたので、これからアムステルダム大学を目指す人のセミナーに参加して質問に答えることもあります。僕も入学前に質問をして助かった経験があるので、次の世代に役に立てることは嬉しいです。
Epsomの同級生でギャップイヤーを取っている仲間の中にも、今はアムステルダム大学に興味を持つ仲間がいて、魅力を存分に伝えています。
留学生でも週に16時間のアルバイトが許されているので、旅行会社でアルバイトをしていますが、そこで出会った仲間と過ごすことが楽しいです。
お家に招いてもらったり、お酒を飲みに出かけたり、国籍も年代も超えて楽しい時間を共有しています。アルバイト先には同じ大学の修士課程の人もいて、刺激になります。
ボランティア活動にも参加し、今はオランダのシェルターで過ごす難民の子供たちに関わる活動に参加しています。ボランティア活動は多くを学べる機会があり、勉強になることが多いです。
オランダには2023年8月末に来たので、今は在住7ヵ月ほどになりますが、マイナスの気温になったり1日中雨が降り続く時期もあり、心が病みそうになる時もありましたが、友達との関わりがあったので乗り越えられました。
単身留学は華やかなことばかりではなく、己の信念の強さが試されると感じます。大学入学はゴールではなく、あくまでスタートなので、どのように工夫して毎日の生活を心豊かなものにしていくかは自分次第です。
英語を使えることで世界が広がったことは間違いなく、誰とでも友達になれるツールと言う意味でも、英語ってすごいなとつくづく思います。
今は修士課程に進むことを目標にしているので、できる限り叶えられるように頑張りたいと思います。
オランダの街を自転車で滑走している時、こんなところで大学に通っている自分が信じられないと思うことがあります。日本で高校生活を送っていたら、オランダで大学生になることは考えなかったと思いますが、今ここにいる自分が心地よく、価値ある時間だと感じます。
マレーシアに移住したからこそ見えた進路なので、今は僕が中3の時に「マレーシアに行くわよ」と言った母に感謝しています。
次男の大学進学の総括 (母の想い)
実はあったもう1つの可能性
Conditional offer ではなく、初めから Official offer だったことと、そして大学のスカラシップ付きだったので、学費が半分になるというとても良いオファーでした。
次男の興味のあることも学べる学部があり、入学することを考えたのですが、歴史の浅い新進気鋭の大学で、環境と格式の点でやはりアムステルダム大学を超えるポイントが見つかりませんでした。
奨学金はとても魅力ではありましたが、結果的に辞退することとなりました。コストだけに注目するのではなく、大事なのはコストパフォーマンスだと思うのです。
大学を選ぶポイントは、人それぞれあると思います。次男の友人の中には「自費では行かない」というポイントを最優先にしている友人もいて、どれだけのスカラシップが取れるかということに注力して選ぶ人もいます。
《何がなんでもイギリス!》という人もいます。逆に《ヨーロッパは嫌だ…》という人もいます。
それぞれの選び方があって当然ですが、10代の子供にそれを一任することを私は避けました。言いなりにしたいというのではなく、本人が思い付かないことを知らせて、より広い視野で考えて欲しいのです。そして最後は自分で決めてほしいのです。
アムステルダム大学に誘導した母の戦略
そのため、次男の大学選定にあたり、それなりに私が誘導したことは否めません(笑)
次男が冷静にプログラムや環境を調べている横で、私はひたすら《イギリスの中堅大学より、オランダの東大…》と囁いていました。(←あくまで主観的認識)
これは私の考えですが、大学は通う年数よりも、卒業後に「●●大学で学びました」と言う年数の方が明らかに長いわけで、社会に出る時にはそれが自分を知ってもらう重大なツールになります。だからこそ、選ぶ大学が人に与える印象、威力も大事だと思います。
将来、次男が「アムステルダム大学で学びました」と誰かに話した時、「なんでオランダ?」と聞かれることが多いと思うし、そこで生まれるコミュニケーションは自分を印象付けることにもなります。
大学生は社会人としての息子を形成する最後の通り道であり、花道です。今までで一番勉強して欲しいと思いますが、勉強だけしていればいいのではなく、何を見て学ぶのか、何を感じられる環境なのか、そこで過ごす時間が超重要だと思うのです。
だから私は、将来的なインパクト、目に見えないけど多くの人が感じる格式、その名前から連想する品位は大事だと考えます。
しかし10代の息子が、そんなことを考慮して学校を選べるとは思いません。だから本人任せにはせず、話し合って世代を超えても通じる魅力を備えた大学を選びました。
結果的には、私と次男の意見は一致し、一寸の迷いもなくアムステルダム大学への進学を決めました。
マレーシア教育移住の集大成
学歴コンプレックスを持つ親が、過度に子供に期待する話を耳にすることがありますが、それは当然だと思います。ただし、やり方を間違えると、それは子供にとって地獄になるのだろうとも思います。
私は2人の息子を世界ランキング100位以内の大学に入れたいというビジョンを描き、《どうしたらそうなるのか?》《そのために何を与えればいいのか?》を考えることが子育てのテーマでした。
ですが、我が家はシングルマザー家庭です。存分にお金をかけてあげることはできない。けれど、存分に調べてあげることはできる。
次男のこれまでの略歴・成績・コストをまとめると、ざっとこんな感じです。
- 公立保育園卒園
- 私立一貫小学校卒業
- 内部進学で付属中学に進学
- 中3の時、マレーシアに教育移住しコタキナバル日本人学校に編入
- 高1となるタイミングでコタキナバルの爆安インター(年間学費100万円以下)にYear9のTerm3から在籍し、Year11でIGCSEを5A*,2A,1Bの優等成績で修了
- Epsom College in MalaysiaのファストトラックA-Levelに入学(1年8ヵ月在籍、学費寮費込み約300万円のスカラ待遇)
- A-Levelのスコア(1A,2B)をもってオランダ国立アムステルダム大学に入学(年間学費約160万円)
ご覧いただくとおわかりかもしれませんが、我が家は常にコスパ最強の道を選んできました。それでも、努力が実れば“オランダの東大”への切符を手にすることができるのです。
マレーシアへの教育移住を始めて約5年、いま私が自信を持って言えることは「親の学歴が子供の学歴を作るわけではない、子供の学歴をどう導くかは親次第」ということ。そして、確かな知識を持てば、たった5年という時間でも予想もしない大きな未来が拓けるということ。
次男の入学に合わせて一緒にオランダに1週間ほど滞在した時、至るところで「あなたは何をしにオランダに来たの?」と聞かれました。
「大学に入学するために来た」と答えると「どこの大学?」と聞かれ、「UvAです」というと見事に全員が「Wow!」と言うのです。
空港の職員も、電車で隣り合わせになった老夫婦も、カフェの店員さんも、地元のオランダ人が「Wow!」という大学で学べることは、とても幸せなことだと思います。
私は常々、親として子供にしてあげられることは《子供の人生に価値を付けること》だと思っています。
私が子供と過ごす時間なんて、彼らの人生の中のほんの一時です。彼らの人生の中で、親として教育ができる限られた時間の中で、どんな手土産を持たせて社会に出すことができるのか、それこそが私の楽しみでもありました。
まだ社会に出たわけではありませんが、遅すぎるスタートと言われた我が家の教育移住が、私と息子の両方にとって悔いのない結果となったので、ちょっと一息つけそうです。
私は息子に言いたい。
君はよく走る競走馬だったし、私は名ジョッキーだった。2人でよく走り続けたと。私はあなたに跨って、鞭を振って行き先を照らし続けてきた。
私たちはよく話し、よく考え、自分たちにとって最適な未来の扉を拓いた。
ここからは君の力次第。
頑張ってくれ。いつまでも応援するから。
まとめ
オランダの大学は、次男にとって最良の選択
マレーシア教育移住の成功の鍵は、親子で常に話し合うこと
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次回に続く
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