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2020年12月中旬、クアラルンプールにある アジアパシフィック ・インターナショナルスクールのオープンデーに行ってきました。
いつまで続くか分からないロックダウンの中、我が家も万一の際に息子の転校を念頭に入れ、他校の情報収集することにしたところ、IGCSEや卒業後の進路に関する他校の考え方に触れ、目から鱗が落ちました。
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アジアパシフィック ・インターナショナルスクールのオープンデーに行ったら目から鱗が落ちた件
アジアパシフィック ・インターナショナルスクールの概要
アジアパシフィック・インターナショナルスクール(Asia Pacific International School)は、1998年に現在のクアラルンプール国際空港(KLIA)ができるまでの玄関口であった旧クアラルンプール国際空港(スバン空港)の近くにあります。
アジアパシフィック・インターナショナルスクール
https://www.apschools.edu.my/
空港の近くということもあり、周りには航空関係の大学があったり、航空機のエンジンを手掛けるGE、マレーシア航空などといった会社がある工業地帯の中に学校はあります。
日本人にも人気の高級住宅街モントキアラからだと、車で30分くらいかかります。30分ならそれほど遠い距離ではありませんが、もし現実的に通学するとしたら、15分程度の運転で通える近所のダマンサラあたりのエリアが良さそうです。なお、スクールバスも用意しているとのことでした。
沿革
2006年、マレーシアカリキュラムのローカル学校が開校し、その後の2012年にAsia Pacific International Schoolが併設されました。
上の写真は校舎正面ですが、立派な建物の大きな学校です。
当初は、マレーシアのIT系大学の雄であるAsia Pacific University傘下の系列校でしたが、2018年にイギリスに本拠を置く全世界に48校のインターナショナルスクールを事業展開するInternational Schools Partnership(ISP)によって買収され、オーナーシップが変わりました。
現在は、マレーシアで4つの校舎を持つテンビー・インターナショナルスクールと同一資本の姉妹校となったそうです。
エントランスの写真。ISPのグループであることが堂々と掲げられています。
生徒数
現在、インターナショナルスクールの生徒数は680人、ローカルスクールの生徒を合計すると全校生徒は1,700人とのことで、かなりの大規模校です。
インターナショナルスクールとローカルスクールの生徒は同じ授業を受けることはなく、同じ校舎の中で2つの学校がそれぞれ運営されているというイメージだそうです。
外国人の先生の割合は20%、マレーシア人の先生は80%とのことで、学費が安めの学校によくある傾向をそのまま反映している印象です。ちなみに、2018年にオーナーシップが変わった際も、先生の異動(転出転入)はまったく無かったそうです。
これは僕の感覚ですが、学校の全生徒に占める日本人の人数が10人以下なら“少ない”、11〜20人は“少なめ”、21〜30人は“やや多い”、31人以上は“多い”と定義付けているので、当校では日本人生徒20人とのことで“少なめ”の部類に入ります。
日本人生徒数の“多い少ない”
〜10人 | 少ない |
11〜20人 | 少なめ |
21〜30人 | やや多い |
31人〜 | 多い |
一般的に、クアラルンプールのインターナショナルスクールでは日本人生徒より韓国人生徒のほうが多い傾向にありますが、当校では韓国人生徒は15人(約2.2%)、日本人生徒は20人(約3%)ということで、日本人のほうがやや多いとのこと。
学費
ホームページに学費の案内がないので、2020-21年の学費を以下に記載しておきます。
学年 | デポジット | 年間授業料 |
---|---|---|
Year1 | 3,445 | 20,670 |
Year2 | 3,855 | 23,130 |
Year3 | 4,300 | 25,800 |
Year4 | 4,700 | 28,200 |
Year5 | 5,080 | 30,480 |
Year6 | 5,485 | 32,910 |
Year7 | 6,078 | 36,420 |
Year8 | 6,455 | 38,730 |
Year9 | 6,770 | 40,620 |
Year10 | 7,020 | 42,120 |
Year11 | 10,800 | 43,520 |
*単位はマレーシアリンギット(RM)
**その他に教科書代、制服代、スクールバス代などがかかります。
仮にうちの息子がYear10から転校したとすると、年間授業料は42,120RM(約107万円*)。IGCSEの始まるYear10でこの学費はかなり安い部類です。
そして、デポジットは1学期分の授業料に相当する額を納めるケースが多いけど、当校はデポジットも安い。
イギリス資本のインターナショナルスクールでこの学費の安さは、もしかしたらお宝級かもしれない(笑)
*1RM=25.5円
カリキュラム
プライマリー(小学校)からセカンダリー(中高)にわたり、すべての学年でケンブリッジ式のカリキュラムを採用しています。
ただ、学校の資料を読んでみると、Year1からYear9までは「英国国定カリキュラムによって補足されたケンブリッジ式のカリキュラムに従います」というややこしい記述があったので、“なんじゃそりゃ?”と思って調べてみたところ、以下のようにどうやら大した違いはなさそうです。
ケンブリッジ式と英国国定カリキュラムの共通点と違い(PDF)
そして、イギリス式カリキュラムで最も重要なYear10からはIGCSEとなり、Year11の終わりにIGCSEのExamを受けることとなります。
配布された資料を見ていると、「Key Stage 4(Year10〜11)は毎晩3時間の自習・復習が期待されます」と書かれているので、“やっぱりIGCSEは甘くないんだな…”ということを再認識させられました。
オープンデーでは、アドミッションの担当者が詳細を説明してくれます。僕は具体的に、もし1月からYear9に中途で入った場合について教えてもらいました。
上記のとおり、Year7〜9でEALが必要な留学生は、マレーシア人の生徒のMalay(国語)の時間に代わってEALの授業をやるとのこと。
どこの学校も同じように入学試験で英語のレベルチェックを行いますが、今、息子はケンブリッジ式PETのサーティフィケートがあると言ったら、“それなら概ね問題ないね”という返答でした。
説明を聞いていると、Year9のカリキュラムは息子の学校と大きな差はないのが分かりました。
時間割
続きまして時間割。
朝の7:30からホームルームが始まり、7:45から1時間目がスタート。そして、午後は14:30まで授業があり、その後下校ということです。
IGCSEの選択科目
続いて、Year10から入学した場合にIGCSEはどのようなカリキュラムになるのかについて質問してみました。
志望する(大学の)学部ごと対応したIGCSEの選択科目が4つのパッケージに分けられているとのことで、一つ一つ丁寧に説明してくれました。
まず必修科目ですが、上記の写真でペンで指している部分のうち、English、Math、そしてPE(体育はIGCSE試験外の科目)の3つが必修で、その他に留学生は第2言語を選択するそうです。
続いて選択科目。
生徒は、志望する(大学の)学部によって用意された4つのパッケージの中から1つを選びます。ちなみに、Package Aは“Pure Science”とのことで、医学部、バイオメディクスなど難関理系学部向けとのこと。
そして、Package B1とPackage B2は“General Science”とのことで、工学部や理学部、心理学部などに行きたいと思っている生徒に向けたパッケージ。ただ、経済学部などビジネス系の学部を目指す生徒も、このパッケージを選択するそうです。
数学がちょっと苦手な子は、このPackage Cを選ぶとのこと。たしかにAdd mathがない。
マレーシアの大学の受験ではIGCSEの選択科目を6科目を取っていることが重要で、いくつかの大学は5科目でもOKな場合もあるらしく、必修科目と合わせるとやはり7科目から8科目(体育を除く)ということになるので、息子の学校とほぼ同じ条件ということになります。
そして、科目のドロップについて聞いてみると、Year10で多めに科目を選択し、もし何かの科目がうまく行かなかったらYear11でドロップすることは可能とのことでした。
アジアパシフィック ・インターナショナルスクールの生徒の卒業後の進路
なので、“卒業後にどういう進路が一般的ですか?”と質問してみたところ、驚きの答えが返ってきました。
スタッフ「IGCSEを終えた生徒は、ほぼファウンデーションコースに進学します」
当校の母体であるISPグループでは、テンビー・インターナショナルスクール・セティアエコパーク校にシックスフォームのプログラムと、サイエンスとビジネスのフェウンデーションコースがあるそうです。
そして、さらに彼女の話は続きます。
スタッフ「IGCSEを修了した生徒は、1.5年から2年を要するAレベルに進むよりも1年間のファウンデーションコースに進学します。そのほうが時間もコストも負担の少ないので、人気があります」
びっくりの回答だったので、再確認のため、“何%の生徒がAレベルに進学するのですか?”と聞いたところ、「数人です」との回答。
息子の前の学校でも今の学校でも、ファウンデーションコースを進められることなんてないんだけど、この学校ではファウンデーションコースが当たり前でAレベルが例外なのね…
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“ところで、Asia Pacific Universityにはファウンデーションコースはあるんですか?”と続けて聞いてみると、コンピュータサイエンス、ビジネス、アカウンティング(会計学)の専攻のファウンデーションコースはあるけど、今は当校のオーナーシップがISPに変わったので、Asia Pacific Universityを特には勧めていないとのこと。
彼女の説明では、Aレベルはどの学部に進学したいのかまだ分からない子が複数の科目を選択して勉強しなければならないけど、例えば会計学部への進学を希望する子がいたとすると、会計学のファウンデーションコースに入ればそこで会計の基礎を学べるので、むしろお勧めとのこと。
さらに、「だって、Aレベルのほうが難しいじゃん」とのことでした(笑)
ただ、資格としての価値はAレベルのほうがファウンデーションコースより高く評価されるのが注意点。Aレベルの勉強のほうがタフだから、世界の大学がその価値を認めている訳です。
「Aレベルしか受け入れていない学部(例えば医学部)に進学したい生徒だけ、数名の子が毎年Aレベルに進みます」と彼女は言います。
そこで、さらに浮かんだ疑問を彼女にぶつけてみました。
“ちなみに、IGCSEを修了した生徒はどの学校のファウンデーションコースに進むの?”
すると彼女は、以下の3つのカレッジを挙げてくれました。
ファウンデーションコースを終えた後、Degree(学士)コースに進む子たちに人気なのは大学のツイニングプログラムだそうです。
ツイニングとは、例えば最初の2年間はマレーシアの大学で勉強し、最後の1年間をイギリスの大学で勉強するというプログラムです。ほとんどのマレーシア人にとって、コストも大きくセーブできるので人気なのだそうです。
ツイニングプログラムとは
マレーシアの大学が、海外の大学と提携し、入学してから前半の学年をマレーシアで学び、後半の学年を海外提携先大学で学ぶことにより、海外提携先大学の学位が取得できるシステムのこと。前半と後半の年数パターンは、「2+1」「1+2」「3+0」などがあります。マレーシアの大学に入学するのですが、学位は海外提携先大学という大きなメリットがあります。
校内の様子
ひととおり説明を受けた後、校内を案内してもらいました。
校舎のど真ん中にあるインドアプール。このプールは、インターナショナルスクールの生徒もマレーシアカリキュラムの生徒も、時間を分けて利用するそうです。
かわいいサインが貼られている音楽室のドア。インターナショナルスクールという感じ。
ICTルーム。Windows PCが配置されています。
サイエンスラボ。過剰な設備はなく非常にシンプル。
屋外のバスケットコート。マレーシアは日中暑いのでテントが張られています。
グランドは天然芝で、けっこう広めでした。
学食その1。
学食その2。生徒がいないのが残念。
最後に、インターナショナルスクール校舎のエントランス。ケンブリッジスクールのロゴが高らかに掲げられています。
結論
今まではAレベルだけが進むべき道と思っていましたが、当校ではほとんどの生徒がファウンデーションコースへ進学すると聞いて本当に目から鱗…
ということで、ファウンデーションコースや大学のツイニングプログラムのことをもっと勉強しないといけません。
アジアパシフィック・インターナショナルスクール、なかなか面白い学校です。母子留学なら、候補に入れてもいいんじゃないかなと思った次第です。
オープンデーに来て、本当に勉強になりました。
最後に、“もし転校したらよろしくお願いします!”と心の中で呟いて学校を後にしました。
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まとめ
オーナーはイギリス資本のインターナショナルスクールを世界に48校持つ会社
シックスフォームがない学校は、敢えてAレベルを選ばない生徒が大半を占める
ファウンデーションコースから大学のツイニングプログラムが人気のパスウェイ
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