“Go for it マレーシア教育移住日記”にご訪問いただきありがとうございます。
今回も、前回の前編に引き続き、マレーシアのインターナショナルスクールに留学する際にお世話になることがある 留学エージェント が、ブログや広告では正しい情報を語らないという真実を後編としてお話しします。
不誠実な 留学エージェント の言うことを鵜呑みにすると子供の将来を見誤ることもあるので、親としては気を付ける必要があります。
留学エージェント の不誠実な思惑(後編) – 進学実績の中身を説明しない無責任さ
進学実績は本当に素晴らしい
あるイギリスの名門ボーディングスクールのマレーシア校は、Aレベルで本校に負けず劣らずの毎年のように好成績を出しています。
僕も息子が同校に通っていた頃、世界各国の名門大学に進学が決まった子たちは、その進学先大学名とAレベルの最終成績が書かれたプレートが校内の目立つところに掲示されており、2017年、2018年、2019年の実績は我が目で見ることができました。
2020年度の実績は、同校の広報が公表しています。
引用元: Epsom College in Malaysia
昨年度はAレベルの最終成績もかなり良かったようで、以下の超名門大学への進学実績を出しています。
- University of Cambridge (英)
- UCL (University College London) (英)
- LSE (London School of Economics and Political Science) (英)
- Imperial College London (英)
- King’s College London (英)
- UC Berkeley (米)
- Stanford University (米)
- 東京大学
同校はイギリス式の学校なので、アメリカの大学への進学実績はたまに出る程度ですが、イギリスの大学へは上記の他にも“英国のIvy League”と呼ばれる名門大学集団ラッセルグループに所属するBristol、Warwick、Southampton、Durham、Nottinghamなどの大学に毎年のように合格者を出しています。
前回の記事でも触れたように、どの留学エージェントもこの進学実績を見て“すごい実績です!”とブログ等で紹介しています。
これは親バカの戯れ言ですが、息子が入学した最初の頃、この錚々たる合格実績の掲示を見る度に、“LSEとかImperialかぁ、かっこいいなぁ。将来は息子もこんな大学に行けたらいいなぁ〜”とよく妄想していたのを覚えています(笑)
ところが、一方でこういう疑問もありました。
“なんで毎年10人強しかいないんだろう。Aレベルをやるシックスフォーム(Year12とYear13それぞれの学年)の生徒はもっとたくさんいるはずなのに、辻褄が合わないよね…”と。
いつもなんだかスッキリしない気持ちがありましたが、時は過ぎて行きました。
大学進学説明会で初めて知った驚きの事実
2019年5月、“Unpacking the University Application Process (大学出願プロセスの荷解き)”と題して、世界各国の大学への進学説明会が同校で開催されました。
担当スピーカーは“Head of Higher Education”という肩書きでAレベルを指導するベテランの先生。
説明会には、前回の記事のA社から代表の方も来ており、後日ブログでこの説明会について紹介していました。
中略
中略
引用元: A社
『「エプソムサマープログラム2019」満員御礼! そして進路説明会に行ってきました♪』2019.5.30 (2020.12.22現在)
ちなみに、上記の写真の一番後ろの後頭部は僕です。
説明会に話を戻すと、このベテランの先生は、イギリスをはじめ、アメリカ、カナダ、オーストラリアの大学への出願プロセスや、それぞれの国の受験難易度、そして出願の際に重要視されるポイント、その準備のために学校がどのようにサポートしているのかということを丁寧に説明してくれました。
一方で、Aレベルに進むにはまずはIGCSEで一定の成績を修めなければならず、その上でイギリスのラッセルグループの大学を志望するなら、Aレベルでの好成績が求められるとのこと。セカンダリーから英語力ゼロで留学を始めたうちの息子のような日本人にとっては、なかなかハードルが高いという現実を突きつけられました。
そして一通り説明を聞いた後、ようやく質疑応答の時間がやってきました。
難易度については説明を受けたものの、“それが一体どれくらい難しいのか?”ということが僕ら親はピンときていません。
そんな中、事前に先生に聞きたいことを話し合っていた1人のママ友が、“Shingoさん、さっきのアレ聞いてみて!”と言ってきたのに促され、僕は挙手して先生に質問しました。
“IGCSEを終えて何%の子がシックスフォームに上がるんですか?”
先生「Year11の人数が分からないので把握してません」
“マジか…?”と思ったのですが、“担当がシックスフォームだから仕方ないか…”と諦めそうになったその時、たまたま会場の横を通りかかった現役Year12のマレーシア人男子生徒を先生は呼び止め、機転を利かせて彼に質問してくれました。
これをチャンスとばかりに、僕は彼にもっと具体的な数字で次の質問をしました。
“あなたの同期でYear11の時に何人の生徒がいて、そのうち何人がYear12に上がったのですか?”
生徒「Year11で50人いて、そこから20人がYear12に上がりました」
ここで保護者の一部に驚きの表情が浮かびます。
“えっ、4割の生徒しかAレベルに進めないの?”
今まで聞かされたことのない情報を突きつけられた保護者たちがざわつき始め、さらに一同の頭の中に“?マーク”が飛び交っています。
“でも、シックスフォームの人数って各学年で20人よりもっと多いよね?”
そんな保護者の表情に浮かぶ疑問符を察してか、彼はさらに答えてくれました。
生徒「20人が他校から転校してくるので、Year12は40人います。毎年そんな感じです」
“おーなるほど、それで数字の辻褄が合う!”と喜んでる場合じゃない(笑)
さらに保護者からいろんな質問がされたのですが、質疑応答で分かったこととその他の情報を総合すると、以下のチャートのようになります。
有名大学合格までのプロセス
つまり、IGCSEを修了した生徒は40%(青い矢印)が同校のAレベルに進みます。そして残りの60%(左下の赤い矢印)はおそらくAレベルよりも一般的には難易度が低いと言われるファウンデーションコースか大学のディプロマコースに進学していると思われます。
ほとんどの親がこの説明会で初めて知らされました。
後から調べて分かった2つのこと
この説明会の後、いろいろ調べるうちに分かってきたことがあります。
ファウンデーションコースも実は一般的なルート
マレーシアのインターナショナルスクールには、様々なカリキュラムの学校があります。そして、イギリス式の学校でもYear11のIGCSEまでの学校もあれば、シックスフォーム(Year12-13)と呼ばれるAレベルコースまで用意している学校もあります。
Aレベルがある学校では多くの生徒がAレベルを目指しますが、それ以外の学校ではほとんどの生徒が相対的に難易度や時間的・金銭的負担の軽いファウンデーションコースに進学します。
以下は、イギリス式インターナショナルスクールのAレベル進学率の違いの一例です。
学校 | Aレベルコース | Aレベル進学率 |
---|---|---|
同校 | あり | 40% |
A校(現Shingo家) | あり | 50% |
B校(現Mina家) | なし | 10%以下 |
C校(APIS*) | なし | 10%以下 |
*Asia Pacific International School (アジアパシフィック・インターナショナルスクール)
サンプル数が少ないので確たることは言えませんが、上記の例を見るとAレベルコースがある学校でも実際にAレベルに進学する生徒は40%〜50%ほどで、同校のYear11のIGCSE修了からAレベルのYear12に進学する生徒の割合(40%)というのは、結論としては一般的な数値なのです。
一方で、Aレベルのないイギリス式インター校ではほとんどの卒業生がAレベルには進学せず、ファウンデーションコースや大学のディプロマコースに進学するのが一般的です。もしAレベルコースのないインター校からAレベルを目指す場合は、転校する必要があるということになります。
同校は今回の説明会で、何ひとつ包み隠さずにこの事実を伝えてくださいました。
優秀な学校のAレベルコースに生徒は集まる
もう1つ気づいたことがあります。
過去の記事『【#15】2020-21年度版!クアラルンプールのインターナショナルスクール、学費など統計データまとめ (主要58校)』を見ると、クアラルンプールのイギリス式インターナショナルスクールでAレベルコースを持っているのは約半数です。
つまり、Aレベルコースを持っていない学校からAレベルを目指す場合、必然的にAレベルコースのある他のインターナショナルスクールやカレッジに進学することになるのですが、同校のAレベルコースはその進学実績から非常に人気が高く、多数の生徒が同校を選んで入学してきます。
同校のAレベルコースに他校から20人ほど入ってくるのは、同校のAレベルの教育水準の高さやボーディングスクールならではの先生方のフォローアップ体制の手厚さがあるため、世間的な評価が高いからなのです。
Aレベルは世界に認められたすばらしいカリキュラム
ご存知の方も多いと思いますが、Aレベルは世界中の大学から認められたIB(国際バカロレア)と匹敵するすばらしい大学受験資格です。
Aレベルはイギリス式のカリキュラムのため、イギリスの大学に進学する場合はもちろん、オーストラリア、シンガポール、アメリカ、カナダ、日本など世界各国の幅広い大学(学部)を受験する際に強力な武器となります。
その意味で、進学先の大学や学部が限定されてしまうファウンデーションコースと比較してAレベルは大きなメリットがあるので、多くの生徒はやはりAレベルを目指し、同校のようにAレベルで高い実績を出すインター校はやはり人気となるのです。
だた、今回の説明会でAレベルに進むのは簡単なことではないということが、初めて明らかとなったわけです。
埋めがたい保護者と 留学エージェント との温度差
これってさ、Aレベルに行けない可能性ってけっこうあるんじゃない?
これまでの留学エージェントの説明からAレベルには当然進めるもんだと思っていたセカンダリーの親たちは、説明会の後、目の前に突きつけられた現実に呆然として軽く放心状態になりました(笑)
一方で、A社の当大学進学説明会のブログ記事にはこう書かれています。
引用元: A社
『「エプソムサマープログラム2019」満員御礼! そして進路説明会に行ってきました♪』2019.5.30 (2020.12.22現在)
けっこうヤバい現実を目の当たりにした親と、ただただ学校のことを「やっぱり違うんだよなあ!」としか言わない留学エージェントとの温度感の差は赤道と北極点ほどの乖離があり、上記のブログを後日見たセカンダリーの親たちは、開いた口が塞がりませんでした。
現実を知らされてこなかった親たちはこの事実に愕然とし、留学エージェントは学校の良いところだけを伝え、すべてを語らないということを改めて認識するに至りました。
表面的な進学実績だけしか説明しない留学エージェントに依存してしまうと、子供の将来を見誤る可能性があります。
僕は、同社のように顧客が事実を知らないことをいいことに、教育という親が子供のことを思って魂を込めて学校を選ぶという場面で顧客を欺くようなやり方は、看過することができません。
彼らのビジネスを否定するつもりはありませんが、それぞれの家族にとって人生の重要な場面で正確な情報を顧客に提供しないやり方は、不誠実かつアンフェアだと思うのです。
ファウンデーションコースという道もある
先ほどもお伝えしましたが、過去の記事『【#15】2020-21年度版!クアラルンプールのインターナショナルスクール、学費など統計データまとめ (主要58校)』を見ると、クアラルンプールのイギリス式インターナショナルスクールで、カリキュラムがIGCSEで終了する学校も半数以上あります。
こういった学校はコストと時間の負担が大きいAレベルを必ずしも勧めておらず、多くの生徒がファウンデーションコースに進学します。
実は、これももう1つの一般的な大学進学へのルートであり、IGCSEで十分な成績を上げられなかった子でも、このファウンデーションコースに進むことにより大学進学のチャンスが広がります。
重要なのは、子供の可能性を広げてあげられるよう、我が子の適性を見つつも、親も知識を持ってジャッジするということです。それがAレベルであれ、ファウンデーションコースであれ、しっかり知識を持って判断することが重要なのです。
我が家はAレベル開始までまだ余裕があるので、どちらのコースが子供の可能性を引き出すことができるか、時間をかけてじっくり考えて行きたいと思います。
ファウンデーションコースについては、これからもっと勉強してみます!
https://go-for-it-malaysia.com/foundation/
まとめ
留学エージェントの情報だけでは見誤る可能性があるので要注意
大学進学へのルートは複数あり、親が自ら情報を得てジャッジすることが重要
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