“Go for it マレーシア教育移住日記”のブログにご訪問いただきありがとうございます。
つい先日、 MM2H の申請受付が2021年10月から再開されるというニュースがありました。
これに伴って申請条件が変更されたのですが、その条件があまりに厳しすぎることから多くの MM2H ビザ所有者から嘆きの声が上がっています。
今回は、その状況をお伝えするとともに、他の代替案はないのかについて調べてみました。
日本人会アンケート集計結果のニュース (9月8日追記)
▶︎MM2H条件厳格化の見直し、KL日本人会が嘆願書を提出 (AsiaX 2021.9.7)
https://go-for-it-malaysia.com/visa/
MM2H 受付再開!厳しすぎ新条件から見えてくる日本人ビザ所有者への影響と、残された代替案
MM2H 申請受付再開というニュース
そして2020年8月、パンデミックが続く状況下で国内に外国人が流入することを制限することを目的として、マレーシア政府は外国人の長期滞在ビザである「マレーシアマイセカンドホームプログラム( MM2H )」の受付を一時停止し、申請中のものについてはプロセスを進めないと発表しました。
それ以降、政府は MM2H の申請条件を見直すことを検討していましたが、つい先日の2021年8月11日、その新条件が公表されました。
Conditional MM2H returnshttps://t.co/fVRQ4QXnbr https://t.co/fVRQ4QXnbr
— The Star (@staronline) August 11, 2021
上記の The Star の記事の要旨を日本語訳しみてると、こんな感じです。
記事抜粋 (重要部分)
マレーシアマイセカンドホーム(MM2H)プログラムが再開され、国の経済に貢献できる応募者への新しい条件が導入されました。新しい条件では、申請者は固定預金口座に最低RM1,000,000を持っている必要があります。
この条件は新規申請者だけでなく、MM2Hパスの更新希望者にも適用されます。10月からの新しい申請書は、観光省からの任務を引き継いだ入国管理局によって審査されます。
マレーシア政府は、このプログラムに参加する適切な人々を引き付けたいと思っています。彼らは、不動産、医療サービス、教育、国内観光など、マレーシア地域経済を活性化するための財政的手段を備えている必要があります。
プログラムを介した外国人の入国数に関する懸念に対処するため、政府はMM2Hビザの上限数を設定することといたしました。MM2H総数は、一度にマレーシア市民の数の1%を超えることは許されません。現在は扶養家族を含めMM2H保有者は57,478人です。
現在、中国、日本、英国、バングラデシュ、韓国、シンガポール、米国、オーストラリア、台湾、インドネシアなどの国々の申請者からの1,000件を超える申請が保留されています。
パスを更新して新しい条件を満たす時間を与えることを希望する既存のMM2Hパス所有者には、1年間の猶予期間が提供されます。
政府関係者のLiew氏はこれまでのMM2Hの人気について、「これは私たちの予想を超えています。以前にマレーシアをどのように宣伝したか、そして新しい条件でこれをどのように行うことができるかを振り返る必要があります」と述べました。
(Google翻訳に加筆修正)
引用元: The Star “Conditional MM2H returns” 2021.8.12
MM2H の新条件
(*すべて1RM=27円で計算しています。)
1. 保有する金融資産の証明
ビザを申請するには、150万リンギの金融資産を提示する必要があります。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | RM500,000 (1,350万円) |
RM1,500,000 (4,050万円) |
50歳〜 | RM350,000 (945万円) |
この金融資産の証明は、日本の銀行口座残高で構いません。
2. 月収
資格を得るために必要なオフショアの月収(日本での収入)は、1万リンギから4万リンギに増額されました。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | RM10,000 (27万円) |
RM40,000 (108万円) |
50歳〜 |
3. 定期預金
最低100万リンギをマレーシアの銀行の定期預金に預ける必要があります。さらに、扶養家族1人ごとに5万リンギを追加する必要があります。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | RM300,000 (810万円) |
RM1,000,000 (2,700万円) *扶養家族1人あたり RM50,000加算 (135万円) |
50歳〜 | RM150,000 (405万円) |
マレーシアでの不動産購入や医療サービス・医療保険、子供の教育費などの目的であれば、元本の50%まで引き出すことができます。
なお、この定期預金はMM2Hビザを止めるまで維持しなければなりません。
4. 年間最低滞在日数
マレーシア国内での年間滞在日数が、毎年累計90日以上であることが新たな条件とされました。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | なし | 90日 |
50歳〜 |
5. ビザ更新
既存のMM2Hビザ保有者の更新時には、新しい条件が適用されます。ただし、猶予期間が1年設定され、その間に新しい条件を満たすことができれば更新することが可能です。
6. 年間ビザ費用
年間ビザ料金は、90リンギから500リンギに引き上げられました。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | RM90 (2,430円) |
RM500 (13,500円) |
50歳〜 |
7. 入国管理局手数料
申請者には5,000リンギ、各扶養家族には2,500リンギの入国管理手数料がかかります。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | なし | 申請者= RM5,000 (13.5万円) 各扶養家族= RM2,500 (6.75万円) |
50歳〜 |
8. 有効期間
新しいMM2Hの有効期間は5年とし、条件を満たせば5年間の延長を認める。
年齢帯 | 旧条件 | 新条件 |
---|---|---|
〜49歳 | 10年(更新可) | 5年(更新可) |
50歳〜 |
9. 無犯罪証明書の提出
従来通り、犯罪歴のないことを証明する公的書面を提出する必要があります。
“厳しすぎる…”という嘆き節
新たに発表されたMM2Hの新条件が厳しすぎることから、MM2Hを所有する在マレーシアの日本人だけでなく、外国人にも動揺が広がっています。
どちらにしても、目の前に鉄のカーテンが下りてきたような絶望感とのご意見が多いです。
在マレーシア邦人数へのインパクト
外務省が毎年公表している海外在留邦人数調査統計の『国(地域)別 在留邦人数推計上位50位推移』の資料によると、2020年(令和2年)の在マレーシア邦人数は「30,973人」、このうち永住者を除く長期滞在者は「28,981人」です。
冒頭にご紹介した The Star の記事によると、2021年現在のMM2Hビザ保有者とその扶養家族の合計数は「57,478人」です。
一方、MM2Hの情報を提供するWebサイト MM2h.com の「MM2H Statistics」によると、2018年時点のMM2Hビザの総所有者数「42,271人」のうち日本人は「4,778人」で日本人のシェアは「11.3%」とのことです。
2018年国別MM2Hシェア
引用元: MM2h.com “MM2H Statistics”
2020年8月に MM2H は新規受付を停止したので、この「11.3%」に大きな変動がないものと仮定すると、最新の2021年のMM2Hを所有する日本人の数は以下のように推計されます。
❶ MM2Hビザを所有する日本人 (推定)
57,478人 × 11.3% = 6,495人
このうち、「MM2Hビザ所有者ではあるけれども現在はマレーシアにはおらずに日本にいる」というご家族や、「ご主人だけは日本で働いている」というご家族もいます。
全体の1割くらいはこういったケースであると仮定し、残りの9割がマレーシアに滞在していることとしてみます。
❷ MM2Hを持ってマレーシアに滞在している日本人 (推定)
6,495人 × 0.9 = 5,845人
さて、ここから撤退する可能性の高い人数の推定です。
そもそもMM2Hはリタイヤメントのシニアに向けた長期滞在ビザであり、マレーシアの温暖な気候とともに物価の安さに魅力を感じてMM2Hを取得したというシニア層が中心となり、それに49歳以下の資産に余裕のある一部のミドル層が加わっているという構図があります。
いずれの層もマレーシアの生活コストの安さに魅力を感じてMM2Hを取得した人がほとんどであり、かなりの人たちが今回の新たなMM2H取得条件を満たすことは難しいのではないかと思われます。
仮に既存のMM2H所有者の1割がこの新条件を満たしてビザ更新が可能だとしても、残りの9割は条件を満たさずに「撤退」を余儀なくされる可能性が高いと思われるので、❷の数字を9掛けします。
❸ 実際にマレーシアを撤退する日本人 (推定)
5,845人 × 0.9 = 5,260人
MM2Hの満期は10年なので、今後10年をかけてこの「5,260人」が減ることが想定されます。
2020年の在マレーシアの長期滞在邦人数は「28,981人」ですが、今から10年後の2031年には5,260人が減って「23,721人」となり、在マレーシア長期滞在者は18.1%減となることが予想されます。
一般財団法人ロングステイ財団が2020年12月2日に公表した「ロングステイ希望国・地域2019」のリサーチではマレーシアは14年連続で第1位となっていますが、今回MM2Hの条件が壊滅的に厳しくなったことで、第1位の座をタイに明け渡す日は近いのかもしれません。
MM2H の代替案はあるのか?
「保護者ビザ」が王道
MM2Hの場合、一家でマレーシア移住してインターナショナルスクールに通うケースが多いかと思いますが、「お父さん・お母さん・子供たち」という構成だとMM2Hが必要です。
しかし、母子留学(父子留学)の場合に必要な「学生ビザ」と「保護者ビザ」の条件には、何ら変更がありません。
私たちの知りうる範囲では、「お父さん・お母さん・子供たち」という構成のご家族でマレーシア移住しているケースよりも、「お母さんと子供たち」という母子留学の形で教育移住を実現されているケースのほうが多いと思います。
今後、マレーシアへの教育移住を目指す場合は、MM2Hではなく母子留学(父子留学)が中心となっていくでしょう。(中学生以上なら単身留学も増えるでしょう。)
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サラワク州MM2H(S-MM2H)という代替案
それは、東マレーシアのサラワク州が発給する「S-MM2H」という長期滞在ビザです。
サラワク州はマレーシアに住んでいる日本人も行ったことがない人がほとんどだと思いますが、東マレーシアのボルネオ島北西部の海岸沿いに位置するマレーシアの州です。
南シナ海沿岸に多くのビーチがあり、内陸部は熱帯雨林の深い森があり、オランウータンが住んでいることで有名です。
サラワク州には中華系のマレーシア人が多く住み、のんびりとした中華の街といった雰囲気です。
元々独立していたサラワク州は、歴史的経緯からマレーシア国内において独自の自治権を有しており、西マレーシア(マレー半島)との往来には入境管理が行われ、マレーシア国民であっても身分証明書が必要です。
そのサラワク州が独自に発給している長期滞在ビザが、「S-MM2H」です。
そのポイントは以下のとおりです。
S-MM2Hのポイント
- 50歳以上の経済的条件が緩い
- 40〜49歳の場合、教育移住、病院にかかること、または現地に不動産投資していること
- 30〜39歳の場合、教育移住、または病院にかかること
- 50歳以上なら、サラワク州以外でも滞在可能 (KL、JB、ペナンなどでも生活可)
- 有効期間は5年で1回の更新が可能 (永久更新はできない)
S-MM2Hは、公式エージェントを通して申請することができるとのことです。
30代と40代の世代にとっては、18歳未満の子供がインターナショナルスクールに通えばよいので、州都クチンのインターナショナルスクールを狙うという手段が考えられるのでチャンスはあります。
50歳以上の方にとっては、MM2Hの新条件と比較してS-MM2Hのハードルはかなり低く、S-MM2Hでも西マレーシア(マレー半島)での滞在日数に制限がないので非常に魅力があります。
なので、今後はS-MM2Hビザの希望者が増えることが予想されますが、この「歪み」が政府よって問題視される可能性もあり、動向を注視しておく必要はありますが、現時点でS-MM2Hは1つの大きな選択肢であることは間違いなさそうです。
難易度高いがマレーシア法人設立し「就労ビザ」
すべての人に向けた代替案ではありませんが、日本で会社を経営している経営者なら、その関連ビジネスをマレーシアで立ち上げるという方法はあります。
マレーシアで法人を設立し、設立した会社が自分に対して就労ビザ発給申請をし、ビザを取得するのです。
ただし、ビジネスのネタがないといけないのはもちろん、日本人などの外国人に対して就労ビザを発給申請するには最低資本金の額が100万リンギ(約2,700万円)とかなり高額になり、かつ、直近の情報では、毎月最低でも8,000RM(21.6万円)以上の給料を支払わなければならないと言われています。
また、いったん法人を設立すれば永続することが前提となり、その後の記帳をはじめとする運営コストや決算事務の手間もかかってきますので、負担が大きいのが現実です。
移住を目的として法人を設立するのはやや本末転倒なので、やはりマレーシアでビジネスをしたいから移住するという論理ではないと頓挫するリスクも高いと思われるので、簡単に挑戦できる選択肢でもなさそうです。
しかし、これからのマレーシアにはチャンスがあると思いますので、財力のある果敢な経営者の方には挑戦していただきたいものです。
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MM2H 新条件についてのまとめ
既存のMM2Hホルダーも、更新するのは極めて厳しいと言わざるを得ない
49歳までなら保護者ビザによる母子(父子)留学での教育移住が王道で、50歳以上ならS-MM2Hが狙い目になるだろう
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